片山由美子さんの俳句

 私にしてはちょっと長い夏休みを過ごしていた間に『香雨』(ふらんす堂)という素敵な名前の句集をいただいた。

 
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 片山由美子さんの句集だ。手にした時、まず香雨という言葉の美しさに、しばしうっとりしてしまった。「あとがき」によると、香雨は唐の詩人李賀の詩からのものらしい。本当に素敵な言葉だ。

 でも、この句集、よかったのは題名だけではない。いくつかいいなと思った句の中でもとりわけ次の句が気に入ってしまった。

  蟻が引くニケの翼のごときもの  片山由美子 

 この句のいいところは、何といっても「ニケ」だ。ニケは、ギリシア神話に登場する女神で、確か戦に関係していたかと思う。古代ギリシアでは、このニケの彫刻も作られていて、有名なのはルーブル美術館にある「サモトラケのニケ」像だろう。

 私が見たとき、それはルーブル美術館の階段のとても目立つ位置に置かれていた。今にも飛び立ちそうなほどに大きく開かれた2枚の翼が、圧倒的な存在感を放っていた。いつかまたルーブル美術館に行くことがあったら、馬に乗った少年像と同じく、もう一度会いたい像だ。

 私が片山さんの俳句を知ったのは、ずいぶん昔のことで、かれこれ30年ほどになるのではないだろうか。作品は、どちらかというと叙景が得意な人だと思っていた。ところが、今回の句集では、この「ニケ」のような、思いっきり想像力を刺激する作品もある。私はすっかり嬉しくなってしまった。

 うーん、俳句、がんばっているんだな。

 同世代で女性で俳人で、というように、結構、彼女と私のあいだには共通点もある。よい意味で刺激をくれる俳人の1人だ。私もがんばらなくちゃね。

 贈って下さって、どうもありがとうございました。

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